果たしてキャニオンのK.I.S.はどうだったのか?[後日談]

果たしてキャニオンのK.I.S.はどうだったのか?[後日談]


2022年 11月 09日

先月の話ですが、約1年振りの海外渡航、4年振りの南仏に2泊4日で行ってきました。

 詳細はこちらの動画に詳しいのですが、是非チャンネル登録がまだの方はこの機会に是非登録お願いします。このブログでは動画外のどうでもいい話と、K.I.S.の後日談をお届けしようと思います。

本当の意味でアフターコロナの海外渡航は初めてだったのですが、今回は人生初のドバイ経由でした。

ドバイでトランジットが3時間ほどあったのでぶらぶらとしていたのですが、つい先日ニセコグラベル参戦前に訪れたニッカウヰスキーの宮崎峡と余市が売ってました。国内定価は4千円ちょいなのですが、現地では1万5千円超です。なのでサントリーの知多でさえ外国に行く時はお土産に持って行くとめちゃめちゃ喜ばれます。

 

Apple Watch Ultraも安ければ買おうと思っていたのですが、在庫なし。ちなみにUAEで販売しているiPhoneはビデオ通話系のアプリが使用できない仕様で、FaceTimeもつい最近解禁されたばかりです。

イラクの上空ですが、あの辺にトレイルありそうだな〜と思っていました。

今回はコートダジュールに点在する、鷲の巣村の一つであるペイヨンという村に2泊しました。中世に異教徒から逃れるため断崖絶壁に作られた村だそうで、クルマからあそこに滞在すると聞かされて撮った写真です。ニースよりもモナコ公国からの方が近く、わずか北側に10kmに位置します。

本当に美しい街なので、ぜひニースに行く機会があれば足を伸ばしてみてください。インフルエンサーなら数ヶ月分の投稿に使える写真がストックできそうです。

 

プレスローンチ当日朝の食事にクロワッサンがあって、無意識に1つ手に取って食べたら震えるほど美味しくて、3つも食べてしまいました。フランスで食べるクロワッサンの美味しさは異常なのですが、コーヒーはまぁ普通でした。

さて、これがK.I.S.です。ドイツのライトヴィル/シンタスが生み出したもので、キャニオンが独占的に今後1年間ライセンスされます。ダンパー機能は無く、あくまでもハンドルをセンタリングするための補助的なものです。いわゆるダッチバイク、オランダのママチャリやシティバイクなどのダウンチューブとフォーククラウンをスプリングで繋げて急にハンドルが切れないようにする機構がありますが、あれとほぼ同じと考えていいです。

Spectral CF 8 K.I.S.

スプリングはトップチューブ内に収納されているため、外観からはほぼ判別不可能です。もしスプリングを完全に除去したい場合は、今後キャニオンから提供されるスペシャルツールにて取り外し可能とのことです。ちなみにシステム自体は110gの重さしかありません。

黒い上下に楕円形の樹脂パーツの中央に見えるボルトを回してスプリングの強度を調整するのですが、バイクが渡された時点では中央の位置ありました。しかし、個人的にはこの位置ではK.I.S.の効果を感じることができず、上の写真は後輪側に引いてスプリング最強の位置に調整した所です。

 話は戻りますが、バイクは事前にリクエストしてあったサイズで、ブレーキも右リアの状態で渡されたのですが、前後のサスペンションは自分でエア圧の調整をする必要があります。サスペンション用のポンプが多数用意されており、世界各国のMTBメディアから派遣されたライダーは自分の好みに合わせてセッティングする訳ですが、50人が一斉にサスペンションを(超真剣に)調整する姿は壮観でした。

キャンプの拠点となったレスカレーヌでランチしている所です。デザート、締めにコーヒーと2時間はここで過ごしたのですが、いかにも南フランスな感じでした。

2日間も山中で監禁状態にあったので、翌朝はドライバーにお願いしてニースで下ろしてもらい、旧市街にある老舗のワイン屋で南仏の赤を2本購入しました。画像は昔使っていたワイン貯蔵庫で、グロウラーに入れて販売していた名残だそうです。観光地だけあって、この人の英語がめちゃめちゃ上手くて助かりました。

ニースなんてもう一生来ないだろうなと4年前に思ったのですが、また来れて良かったです。3回目がありますように。

ニースから空港まではトラムで移動したのですが、切符を買ってから車内にある機械に差し込んで乗車した駅やその時間を印字します。定期的に検札があって、印字が無かったら罰金があるというシステムだと思います。

ワクチンを3回以上接種していると、ワクチンパスポートのQRコードを送ると審査後、MySOSアプリが青になり、これにより入国審査がスムースになるのですが、コート・ダジュール空港のエミレーツにチェックインする時、グランドスタッフが「画面が緑ではないと乗れない」と古い情報を元に言ってきて、若干の押し問答の末に不本意ではありますがPCR検査を受ける羽目になりました。

ところが、MySOSにワクチンパスポートを一度登録すると後からPCR検査の陰性証明が登録できない仕様になっており、仕方なくワクチンパスポートの情報を削除しようと思ってPDFのマニュアルを見ると、なぜかベトナム語に飛ばされて絶望、この時点で搭乗1時間前を切っており、諦めた僕は「今日はもう乗れそうにないので明日に変えてほしい・・」と弱々しく伝えると、横にいたスーパーバイザー的な女性が「ここは電波が弱いのでゲートの向こうでやる方がいい」言うのです。

「空港のWi-Fiなのでネット接続は大丈夫なはずだけど・・」と答えると、再度「電波が弱くてよくあることなので中でやる方がいい」と言われた時点で気づきました。僕は全力でありがとうを言うとチケットと荷物の半券を受け取ってゲートまでダッシュしました。南仏にも阿吽の呼吸はあったのです。

 さてK.I.S.ですが、エンバーゴ後に各国のメディアから初期のレビューが公開され、概ね僕が想定した感じの慎重なレビューが多かったです。これは当然のことで、信頼ある老舗メディアであればあるほど、1日乗っただけで絶賛する内容のレビューを出すことはほぼなく、そこその長期レポートで結論を出します。

メーカーがドロッパーポストに匹敵する発明と豪語するだけあって、相当なポテンシャルを感じながら帰国した訳ですが、すぐに同社のストライブに乗る機会がありました。

ストライブはENDURO用のレースバイクだけあり、スペクトラルよりもさらに下りが得意なバイクです。久しぶりに乗る機会だったため、前後のサスペンションにエアを足し、タイヤの空気圧も調整して事務所の前で軽く乗ったのですが、衝撃を受けたのです。

「ハンドルがフラフラする!!」

K.I.S.そのものよりも、K.I.S.が無いことの方が衝撃が大きかったのです。たった1日だけ南仏でK.I.S.を体験しただけで、その恩恵に体が慣れきってしまいました。当日はK.I.S.のセッティングをミドルからスタートしたのですが、低速で若干の介入を感じるものの、あまりトレイルでの下りで恩恵を感じることができず、午後から最強に変更すると、安定感を得て好印象でした。

K.I.S.の無いストライブは平地でゆっくり走っても安定しない感じがする、舗装の登りでも常にハンドルの切れ角を微調整させられる感じがして疲れる、さらにトレイルの下りでも安定感が無くて恐いなど、K.I.S.を失って初めてその効能を知りました。

南仏では他のメディアから、「ハンドルが左右にブレないのでマニュアルがしやすい」という少々変わった感想や、ファビアン・バレルの「両輪ドリフトが可能」まで色々なフィードバッグを聞きましたが、今回の比較では登りで安定して疲れないという恩恵があったと感じました。

 そのうち、キャニオンジャパンにK.I.S.搭載の試乗車が届くと思いますので、改めて詳細な試乗ができればと思います。南仏で画期的なデバイスの誕生に日本人としてただ一人立ち会った可能性があるし、黒歴史として嘲笑される失敗作として人々の記憶に刻まれる可能性もありますが、個人的にはドロッパーポストは失敗するに違いないと否定的立場だった反省があります。

著名な写真家であるBoris Beyer氏に撮影されただけでも良い出張でした。今後もYouTubeでお伝えすると思いますので、ぜひチャンネル登録ください。

https://www.youtube.com/c/tkcproductions

 

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